仮想通貨の将来:PoSと世界経済【後編】

3.世界経済の状況

① 経済と仮想通貨

 アルゼンチンやベネズエラで経済危機が起きていることは記憶に新しい。アルゼンチンの仮想通貨の取引量(図1)からも分かるように、経済不安やデフォルトへの危機感が広がると、仮想通貨の需要が伸びる傾向がある。ただし”条件設定”が必要であり、「自国通貨への不信感」「仮想通貨に対する期待」がこれに当たる。2017年に仮想通貨が史上最高値を更新した時を振り返る。

図1.アルゼンチンのBTC取引量(coin.dance)

 世界経済の主要国のBTC取引量を図2に示した。日本以外のアメリカ、ヨーロッパ、中国ともに史上最高値の段階で取引量が大きく伸びている。
 特にアメリカのBTC取引量からも分かるように、仮想通貨の時価総額の上昇に伴い、取引量が増加している。これは他国の取引量を見渡しても、唯一の存在と言える。つまり、GDP世界1位のアメリカ資本は、仮想通貨市場において無視できない存在である。

図2.主要国のBTC取引量:最高値(2017.12)の前後1カ月を赤枠とした (coin.dance)

では何故、アメリカのBTC取引量が、右肩下がりで減少しているのか?

 原因としては「好調なアメリカ株価」「仮想通貨に対する不信感」が挙げられる。 これはアルゼンチンと真逆の状況であり、経済状態が堅調の国では潤沢な投資資金が証券市場に流れる。経済が強ければ自国通貨も強まり、あえて仮想通貨を持つメリットは少なくなる。

② 好調なアメリカ株価

 アメリカ株価は最高値を更新しており、非常に好景気であると言える。それを象徴するように、仮想通貨と相関するとされるVIX(恐怖指数)は非常に低値を示している。 
 VIX(恐怖指数)は、証券取引(S&P 500)の直近のボラティリティを計算し、投資家の感情を測る尺度とされる。VIX指数が高騰する場合は株式市場における方向性が不確実であり、投資資金が証券取引から現物へと戻されていることを示す。 投資資産は有限であり、VIXが低い時期は投資資金が証券へ流れ、仮想通貨への流入量が減る(逆相関を呈する)[図3]。逆に言えば、アメリカ経済が破綻した場合、VIX指標が上昇し、仮想通貨への資金流入が始まる。
 現在のVIX指標は低値を示しており[図4]、好景気を示す範囲に入っている。当然ながら仮想通貨へは資金が流入は少ない。

図3. Cboeより引用
図4. VIX指標

仮想通貨に対する不信感

 アメリカにおいて仮想通貨に関連する裁判が報道されており、仮想通貨が持つイメージも損なわれている。「テザー問題」「 クレイグ・ライト氏 110万BTC問題」「Facebook リブラ」など仮想通貨を巡る裁判や公聴会が、アメリカ人の不信感を煽っている。これらの裁判では「無いもの」を証明する非常に難しい裁判である。また裁判がいつまでも終わらないのは、国の通貨に対する既得権益が奪われる危険性があるため、政治的圧力が働いていることに起因する。

 もし”経済の転換点”が訪れ、国民が本当の意味で仮想通貨を求めた場合、政治的な圧力も弱まり裁判も収束すると考えられる。

現行のアメリカ株価を見ても、仮想通貨の需要低下は明白である。

 次の”経済の転換点”である「株価暴落」「デフォルト」が仮想通貨の需要を喚起するための、重要な条件設定となる。

 

4.まとめ

 「①マイナーの撤退(売り圧の減少)」「②PoSによる売り圧の減少」「③経済不振による需要増加」により、次の転換点は2020年初夏(7, 8月)が重要局面になる可能性がある。 上述した内容を踏まえて将来を予想した[図5]。
 2017~2018年の上昇から下降局面が1年掛けていることを含め、次回の上昇局面は2020年7月以降が有力である。(※ ファンダメンタル的な要素を省いており状況は変わる可能性があるため注意は必要)

図5. 3要素によるBTCチャート分析

 
 直近ではディセトラのトレンドライン上縁までいくため、デイトレの人は80万後半までのロングポジションも無理ではない。 現時点(2019.12)では長期のロングポジションは勧めない。BTCのディセトラは続いており、三角形の下縁(Support line)がいつ破綻するか分からない状況だからだ。

 仮想通貨において、中長期を見据えた資産運用であれば、Binanceでのアルトコインやレンディングサービスでの運用(利率最大10%)をお勧めする。 もし国内の取引所しか口座を持っていない方は、簡単に開設できるのでやってみるといいかもしれない。

 
ペン太
長くなったけど、ベアっちどうだった?
 
ベアっち
(むにゃむにゃ・・・)
 
ペン太
ですよねー!

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