昨日の日経新聞の記事に、「自動運転の特許競争力、トヨタなど巻き返し IT系抜く」という見出しがある。
詳しくはニュースを見てもらいたいが、要点としては下記の通りである。
自動運転の技術開発で、IT(情報技術)大手より出遅れていた自動車大手が巻き返している。1月末の米国での特許の競争力を調べると、米フォード・モーターやトヨタ自動車が上位に入り、2年半前の前回調査で首位だった米アルファベット系を抜いた。自動車大手は「走る、止まる、曲がる」など基本的な走行技術が強い。自動運転車の実用化が近づくにつれ、これまでリードしてきたIT系と拮抗しつつある。
日本企業は自動車大手に加え、ソニー(現ソニーグループ)などの12社が上位50位に入った。ただ米国の公道走行試験距離の実績では米系や中国系には及ばない。実用化がさらに近づくにつれ、実際の公道走行に即した技術の開発競争が激しくなりそうだ。
首位はフォードで、トヨタは2位につけた。2018年7月の前回調査で首位だったアルファベット傘下のウェイモは3位となり、上位10社のうち、7社を伝統的な自動車大手や自動車部品メーカーが占めた。
トヨタとフォードが2年半でウェイモを上回った主な要因は、特許件数が増えたためだ。トヨタとフォードの有効特許件数はそれぞれ2.5倍になった。一方、ウェイモは8割増にとどまった。世界的に自動運転車の実用化が近づくにつれ、自動車大手の持つ車の基本性能に関する特許が競合の特許取得の際に引用されたり、審判を申し立てられたりすることが増えたことも一因とみられる。
ニュース深読み
この記事について考察すると、AIの特許数については「自動運転技術」に限らず、多くの分野でIT系企業が先行している。しかし、技術だけでは革新は生まれにくく、自動運転と同様に様々な分野のAI関連特許も主力企業が逆転していくと考えられる。
というのも、現場で必要とされるセンシング技術やそれに関わる基幹技術など、今まで蓄積してきたデータやセンサーがAI開発に大きく影響するためである。
そのためAI開発に関して遅れている日本は、この状況に卑下する必要はなく、今からでもAI開発に参入していくことで巻き返すことが可能であることを示している。
ただし、開発参入なければ新たな技術開発やサービスに大きな後れをとるため、衰退の一途を辿る可能性がある。