2.動画時代(Youtube)
ドローンが注目されるのは、スポーツの側面だけではない。撮影した「動画」の面白さも大切である。動画4は、ドローンレース用の機体にGoProを取り付けたものになる。スピードも市販のものより格段に速く、臨場感のある動画になっている。
高いお金を出せば確かに良い動画を取れるが、最近では安くても性能のいいドローンが市場に投入されている。動画5はDJI社(中国)が提供するMavic miniで撮影されたものだ。ホバリングによるカメラのブレも少なく、飛行中の視点移動も非常にスムーズである。実は5万円程で購入できるドローンだが、カメラ性能や飛行性能もプロ顔負けの製品に仕上がっている。
DJI社は近年急速に拡大する中国IT企業であり、ドローン技術で培われたCPU制御のモーター駆動を利用して、動画撮影ツール(Osmo Mobile, Osmo Pocket)を市場に投入している。同社の商品は小型ながら、動画撮影用のスタビライザー(手振れ補正)としての機能は他社を圧倒している。
ドローンを手にすることで、簡単に「人が想像することでしか見れない景色・光景が、疑似体験できる」といえる。さらにYoutubeなどの動画配信サイトとの親和性が高く、共有されることで、その体験が世界中に拡散されて市場規模も拡大している。
3.軍事転用の危険性
① 軍事的インパクト
先日、「マイクロ波でドローン落とす。防衛装備庁が実験成功」(日経新聞)という記事が掲載された。国内においても、 軍事面やテロリズムの観点から ドローン兵器が無視できない存在であり、防衛庁が最優先事項として開発している。
既に世界ではテロリストにより悪用されており、 2019年9月には、「サウジアラビアの石油施設にドローン攻撃」があった。その時の影響として、 世界生産量の5%減産という甚大な被害が出ている。人間の侵入を防ぐ物理的な障壁(フェンス・壁)を容易に超えて攻撃できるため、今までの対空兵器では防ぐことが困難である。
テロリストとしては”お金を掛けず”、”相手に発見されず”、”いかに大きな損害を与える”かが重要なポイントとなる。その点で言うと、ドローンは全ての項目を満たしている。本体を構成するのは、モーター4個、電池、電子回路、プラスチックのフレームという限られた数点の部品だけである。
簡易ドローンであれば1台4ドルも掛からない。いざ飛ばそうと思えば遠隔操作が可能であるため、 相手にも発見されるリスクも少ない。たとえドローンが撃墜されてもテロリスト側への影響は微々たるものとなる。