Amzon, Uberをはじめ、近年の物販・物流・コンテンツ配信などのITサービスはとても便利だ。単に安くて便利なサービスなだけではなく、着実に世界の社会構造や“働き方”を変えつつある。
また別の側面では、GAFAなどのプラットフォームを有するIT企業の「税逃れ」がニュースとして取り上げられている。(世界的に見ても、IT企業の支払う納税額が異様に少ない[図1])。一方で、2019年末にはAmazon Japanが 「現地法人として納税を開始」[日経]と報道され、急に納税額を増やし始めた。なぜ今まで抑制してきた納税額を増やし始めたのか?
今回は、GAFA成長の裏で急速に進む「経済格差」と、Amazonなどが納税額を増やしたことにも繋がる「アメリカ大統領選挙」について解説する。
なにか問題なんなん?
利用者が多くて、その影響が社会全体で起きてるんだ。
“なん”多くない!?
1.広がる経済格差
① 優れたサービス
Amazonであれば、提供サービス(Prime, Music, Kindle, AWS)は全て利用している。どのサービスも優れており、アマゾンの創業者 ジェフ・ベゾス氏の精神(Get Big Fast)も好きだ。日用品はAmazonで注文し、ちょとしたプレゼントでさえも頼ってしまう。またUberはタクシーサービスをはじめ、Uber Eatsでは食品配達まで手掛けており、便利な世の中だと実感する。ただ安価で便利なサービスを提供する裏では、パートナーシップという便利な言葉が流行し始めている。
② 危険キーワード
パートナーシップとは、「企業が個人事業主と契約することで、どの組織にも属さない個人事業主が配達を担うこと」を意味する。つまり、支給されるトラックや車、制服もなければ、所属する労働組合などの団体もない。あるのは発注元との契約だけである。 米国では2015年に開始されていたが、2019年には日本でもAmazon Flex(公式パートナーシップ)が開始された。
商品によっては配送方法をAmazon(パートナーシップ)にするか、他の運送会社を選択できる。先日、初めてパートナーシップの方が届けてくれた時は、いつも運送会社(ヤマト, 佐川)の制服姿を見慣れているので、ラフな私服姿に少し驚いた。
Amazon Flexのホームページにも、以下のように記載がある。
”Amazon Flex とは、貨トラックや軽バンなどの軽貨物車をお持ちの個人事業主に、配達業務を行っていただくサービスです。 時間と日時を自由に選べる働き方です”と、明記されている。
Amazonは直接、パートナーシップ(個人事業主)と契約を結べるため、物流コストを安く済ませられるメリットがある。これはAIやロボットによる代替以前に、“働き方”を大きく変える。この働き方の変化は、世界的に流行する「Gig Economy」と呼ばれる。