最近、女子大生の就活時に面接官から受けたセクハラが問題となっている。今後、企業側もイメージダウンを避けるために就職担当者を極力減らし、AI面接の導入が社会全体で加速すると考えられる。
一見、就活生にとっては機会損失が減り、メリットが多いようにも見える。AIを用いて効率化を重視した先に、なにがあるのか。
今回は各国で導入されつつあるAI(機械学習)による限界と、サービスの大衆化により拡大するであろう経済格差について取り上げていく。
1.AI面接のメリット・デメリット
AI面接と聞くと、国内では認知度が低く如何わしいイメージがあるかもしれない。しかし海外ではヒルトングループやカンタス航空が導入しているHireVue、IKEAやフォルクスワーゲンなどが採用しているSparkHireがあり、世界的にもかなりのスピードで普及しつつある。
国内では吉野家ホールディングスがバイト面接で導入した“SHaiN”がニュースでも取り上げられている。
各社でサービス内容に差はあれど、モバイル端末からネットでアクセスすることにより利便性を高め、日程や場所に囚われずに候補者の実力を発揮しやすい環境を与えることでは共通している。吉野家が導入に踏み切った要因としては、以下の効果を期待したようだ。導入した結果、業務効率化も進んだとされる。
- 応募者のドタキャンによる機会損失の削減
- 採用しない人との面接がなくなったこと
- 雇用にマッチした応募者を採用できるようになった
① 企業側のメリット
企業側は、人材採用マーケティングを戦略的かつ効率的に行うことが出来る。更にセクハラといった社会的リスクを減らし、トップが欲しい人材を明確化することで、採用担当とビジョンを共有していなくとも機械的に明示することができる。
特に巨大化した組織ほど末端まで価値観を統一することは難しい。担当者各々の判断や忖度で人材が採用されることで、企業の意思決定権を持つ者の価値観やビジョンを共有しきれていないことがある。 結局は価値観の相違から、離職者が増えるため、企業側と就活生の双方でデメリットしかない。
AIを活用することで、面接時間を指定して場所を確保するという手間、人権費や広告費の削減も期待される。これは企業側にとっても非常に大きなインパクトとなる。
② 就活生のメリット
就活生は指定されたプログラムでエントリーシートの記入、もしくは更なる詳細なデータ入力から面接・試験を経て、企業側の求める人材と一致しているか判断してもらう。
以前であれば、採用担当者の裁量で不明瞭な点があった。しかし今後は、AIのアルゴリズムによって決められた内容と合致していれば「採用」となる。採用担当者の機嫌を伺うことなく、ある意味で明確な判断基準のもとに判定される。
では、どのようにしてAIで人材選考していくのか?
基本的には機械学習の一手法であるDeeplearningで決定される。